歯と美容と健康のコラム

足腰より先にチェックすべき?見過ごしがちな「口の衰え」が全身老化を加速させる本当の理由

年齢とともに体力が落ちてきた」「階段を上るのがつらくなった」——多くの人が「老化」と聞いてまず思い浮かべるのは、足腰の衰えかもしれません。しかし、本当に注意すべき老化のサインは、もっと意外な場所に隠れている可能性があります。
最近、固いものが食べにくくなった」「お茶を飲むと、むせやすくなった
もし、こうした口周りのささいな変化に心当たりがあるなら、それは単なる些細な衰えではないかもしれません。見過ごされがちなこれらのサインは、全身の健康を静かに揺るがし始める「口腔機能低下症」という、重大な問題の始まりかもしれないのです。
この記事では、なぜ口の機能低下がそれほど重要なのか、そしてそれが私たちの健康寿命にどう影響するのか、その驚くべきポイントを解説していきます。

見過ごし厳禁!「口の衰え」が告げる4つの重要サイン

1. 「噛めない」から始まる、全身老化へのドミノ倒し

口の機能低下がもたらす影響は、口の中だけで完結しません。それは全身の健康を蝕む、静かなドミノ倒しの第一歩です。
きっかけは、歯を失うといった直接的な問題から始まります。歯がなくなると硬いものを避け、柔らかいものばかりを食べるようになります。その結果、噛むために必要な筋肉がますます衰え、さらに噛む力が弱くなるという悪循環に陥ります。
しかし、問題は歯が残っていても起こります。舌を動かす力や唾液の分泌量が減るだけでも、食べ物をうまくまとめたり、飲み込んだりすることが難しくなります。その結果、肉や野菜といった固さや繊維質のある食べ物を避けがちになり、「たんぱく質や食物繊維が不足し、栄養が偏りやすくなる」のです。
つまり、口の機能低下は単なる口内の問題に留まりません。それは全身の栄養失調を招き、筋力や免疫力を奪うことで、体全体の老化を加速させてしまう最初の引き金なのです。

2. 要介護一歩手前の危険な分岐点、「フレイル」との直接的なつながり

そして、この栄養不足が直接的につながるのが、自立した生活を脅かす「フレイル」という危険な状態です。
私たちの健康状態は、いきなり「要介護」になるわけではありません。多くの場合、「健康な状態」から、加齢やささいな不調をきっかけに「プレフレイル(フレイル前段階)」、そして「フレイル(虚弱)」という段階を経て、最終的に「要介護」へと進んでいきます。
特に重要なのが「フレイル」という段階です。これは、いわば「要介護の手前というデリケートな分岐点」であり、適切な対策をすれば健康な状態に戻れる可能性のある最後のチャンスとも言えます。
しかし、このサインを見過ごし、何も対策をしなければどうなるのでしょうか。
何も対策をしなければ、基本動作能力が低下し、日常生活に支障が出て、一人で自立して生活することが難しく、要介護状態、寝たきり、死亡のリスクも高くなってしまいます。
つまり、お茶でむせる、食べこぼしが増えるといった口の機能低下を放置することは、最終的に自立した生活そのものを失うリスクに直結する、極めて深刻な問題なのです。

3. 「口の機能」は歯だけじゃない!専門的な7つの検査項目

多くの人は「口の健康=歯の健康」と考えがちですが、専門的な評価はもっと多角的です。口腔機能低下症の診断では、歯の本数だけでなく、以下の7つの専門的な項目を通じて、口全体の「総合力」が精密に評価されます。
• 口腔衛生状態不良(舌の汚れなどを視診)
• 咬合力低下(残っている歯の数で評価)
• 嚥下機能低下(飲み込みに関する問診)
• 低舌圧(舌が上あごを押す力)
• 咀嚼機能低下(噛む能力)
• 口腔乾燥(唾液の量)
• 舌口唇運動機能低下(舌や唇の巧みな動き)
舌の圧力、唾液の量、唇の滑らかな動きといった項目が含まれていることに驚いた方もいるかもしれません。
これらの専門的な診断基準は、口の機能がいかに多くの要素から成り立っているかを示しています。

4. 放置する「衰え」から、治療できる「病気」へ

これらの検査が持つ最も重要な意味は、「口の衰え」が、諦めるしかない老化現象ではなく、明確な基準を持つ「診断可能な病気」であると定義されたことです。
診断基準は非常に明確で、先ほどの7項目のうち、「3つ以上の項目が基準値以下であれば『口腔機能低下症』と診断します」。
「専門的な検査」と聞くと、時間や費用が心配になるかもしれませんが、心配は無用です。検査時間は全部で30分程度で、しかも健康保険が適用されます。決してハードルの高いものではありません。
さらに、検査をして終わりではありません。診断後には、専門家から結果と改善方法についての詳しい説明があり、具体的なトレーニング指導も受けられます。そして、6ヶ月後を目安に再度検査を行い、改善度合いを評価するという、継続的なサポート体制が整っています。
特筆すべきは、施設によってはケアマネージャーの資格を持つ歯科衛生士が在籍している点です。これは、口の健康だけでなく、その先にある介護の領域まで深く理解した専門家がサポートしてくれるという、心強い証と言えるでしょう。
「もう歳のせいだから」と諦めていた口の衰えが、実は保険適用で検査・治療・トレーニングが可能な対象であるという事実は、多くの人にとって大きな希望となるはずです。

健康寿命は「口」から延ばす

「固いものが食べにくい」「よくむせる」といった口のささいな衰えは、単なる老化のサインではありません。それは全身の栄養状態を悪化させ、フレイル(虚弱)を招き、ひいては要介護リスクを高める重大な警告です。
しかし、これは悲観的な話で終わるわけではありません。この問題は早期に気づき、専門的な検査を受けて適切な対策(オーラルフレイル予防)を行うことで、進行を食い止め、改善することが可能です。それは、自立した生活を守り、健康寿命を延ばすことにつながります。

最後に

このページでは、全身の老化にも関連する口腔機能低下症とその進行について説明しました。歯を失ったり噛む力が衰えたりすることで、栄養が偏りやすくなり、初期のプレフレイルから最終的に要介護状態へと至る危険性が高まります。特に、硬いものが食べにくい、お茶でむせる、口が渇くといったささいな衰えは、フレイルへ進む前の重要な警告サインであると指摘されています。

泉大津市痛くない歯医者「なぎさ歯科」では、舌の力や咀嚼機能、口腔衛生状態など7つの検査項目を用いて精密検査を行い、3つ以上の項目で基準値を下回った場合に口腔機能低下症と診断されます。検査は約30分で健康保険が適用され、診断後は改善方法やトレーニングの指導を通じて、患者の健康寿命を延ばすためのサポートを提供しています。


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